2014年3月3日月曜日

注意欠如障害ADHD ADD にみられる日中の眠気 (1)

このエントリーはより新しいエントリーが有ります。

より新しいエントリー      『ADHD(注意欠如多動症)の日中の眠気』
こちらも合わせてお読みください 『日中とても眠くて困っています』

睡眠専門外来を2つの医療機関で担当しています。そこには、様々な患者さんが来ます。日中の眠気で訪れる患者さんを睡眠障害の視点から、発達障害に発想を転換する必要があるケースに多くであいます。いくつかの症例をまとめて修飾してですが例としてあげますと30代の女性が他院の睡眠専門外来で過眠症で治療を受けていた。ベタナミン(覚醒作用のある、過眠症に用いられる薬剤)を投与されていまし。いまひとつ良くならないというので、睡眠専門外来を変えてみようということで来院されました。よくよく話を聞いてみると、仕事を順序立てるのが苦手で、休みの日などはぐったりと一日寝てしまうということでした。また、別の患者さんも、昼間の眠気で来院されました。この方の場合、遅刻が多い、日中の眠気などから、睡眠相後退症候群(生物時計の障害)と誤診されていました。その他にも、小学校高学年から中学生の患者さんで、学校で居眠りが多いということで指摘を受けて来院した人が何名かいます。小さい頃の様子など詳細に聞いてみると、怪我が多い、忘れ物が多いなどということも多くあったようです

【追記】このような患者さんに、ストラテラ(アトモキセチン)を投与すると、興味深いことに睡眠が改善するといいます。よく眠れるようになった。寝起きの悪さが治ったということをいう方が多くいます。ストラテラは通常、朝投与しますので、睡眠に対する直接的な効果は少ないと思われます。しかし、睡眠が改善するということは日中のノルアドレナリン系の機能亢進が、二次的に睡眠のメカニズムに好ましい影響を与えている可能性があるのかもしれないと思います。また、日中の眠気も改善します。これは、夜間睡眠の改善が日中の睡眠の改善に関わっているのか、それともストラテラの直接作用なのか、あるいはその両方なのかはわかりません。脳幹部の青斑核という部分にノルアドレナリンをつくる神経細胞があるのですが、この細胞の働きが、注意を集中するときには活発になります。アトモキセチンはこのノルアドレナリン神経系の働きを高めるため、日中の覚醒度が上がり、その二次的結果として夜間睡眠が改善するというのが考えられる作用機序です。

 先日日本に来ていて、たまたま講演を聴く機会のあった、Umesh Jain先生(カナダ人でAD/HDが専門家)に、講演後の食事会で話しを聞いてみたことがあります。自分は睡眠が専門というと、彼もAD/HDの睡眠をやっているといことで、論文を幾つか紹介してくれました。


Sleep and daytime function in adults with attention-deficit/hyperactivity disorder: subtype differences / Yoon-SYR, Jain-UR, Shapiro-CM / Sleep Medicine 14 (2013) 648–655


 この論文は、成人のAD/HDの眠気について質問紙調査したものです。これによると、なんと約85%の患者さんが昼間の眠気や睡眠の質の悪化を訴えています。夜間睡眠については、入眠困難、睡眠の中断、睡眠中の暑さなどです。ADHDにはサブタイプがあって、Inattentive(注意欠如が主体)とCombined(多動もあり)に分けて結果を解析していますが、Inattentiveタイプの方が、睡眠の問題や日中の疲労感があるようです。また、男女では日中の疲労感はInattentiveの女性が一番強いようです。

 このように考えると、注意欠如障害のひとの日々の生活の質を向上させるための治療は、注意欠如の症状だけでなく睡眠覚醒を含めて総合的に行うのが良さそうです。それで、私は、運動などもお勧めしています。コンサータなどは覚醒系の薬物なので、夜間には効果は切れているかもしれませんが、影響が出る可能性はあります。ここで、眠剤を投与することが誤りではないかもしれませんが、生活指導として運動などを取り入れながら、生活リズムを整え、夜間睡眠の質を生活から向上させることも大切であるように思われます。


しかし、何よりも、睡眠専門外来に来ても、睡眠の障害以外の可能性も考えて、きちんと診断することが、それ以前のこととしてもっとも重要であることは、言うまでもありません。専門外来は、専門的な診断治療という意味では良いのですが、このような他の疾患を見逃す可能性については、十分に注意しておくことも大切であるように思われます。

受診は すなおクリニック (大宮駅東口徒歩3分)へ

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